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7月第3週UP【犬の聴覚】~犬にしか聞こえない音とストレスを感じさせない環境作りについて~

2025.07.04

#犬#生態#雑学
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こんにちは。レティシアンスタッフのHです。

突然ですが、皆様は犬の「聴覚」がどれほど優れているかご存じでしょうか。
足音を立てずに歩いても、バツグンの聴覚を持つ犬はすぐにこちらの存在に気づいてしまいます。また、大好きなフードやおやつの袋に関しては、少し手を触れただけでもすぐに反応する姿を目にされたことがあるのではないでしょうか。

今回は、そんな犬の「聴覚」について詳しくご紹介します。ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。

人間と犬の聴覚の違いについて

 

1.人間の聴覚について


音の高さ(周波数)は、「ヘルツ(Hz)」という単位で表記され、数値が小さいほど低い音に、大きいほど高い音になります。
人間は一般的に20~20,000Hzの音が聞こえると言われており、この範囲が人間の「可聴域」です。人間の可聴域よりも高い音は「超音波」、低い音は「超低周波音」と呼ばれ、どちらも私たち人間には聞き取ることができません。

日常生活の中で聞こえるさまざまな音は、それぞれ以下のような周波数となります。

・通常の話し声    100~1,000 Hz
・ささやき声     100~500 Hz
・ピアノの最も低い音 27.5Hz

また、音の大きさは「デシベル(dB)」という単位で表記されます。
「人間がギリギリ聞こえる最小の音」を0dBとして、数値が大きくなるほど大きな音として聞こえます。
人間は一般的に0~140 dB程度の大きさの音を聞き取れると言われており、120 dBを超える大きさになると、「音」というより「痛み」として感じられ、鼓膜や内耳に大きなダメージを与えてしまいます。

日常生活の中で聞こえるさまざまな音の大きさを以下でご紹介いたします。

・エアコン  41~59dB
・洗濯機   64~72dB
・掃除機   64~76dB
・テレビの音 57~72dB
・犬の鳴き声 90~100dB

 

2.犬の聴覚について


犬は人間のように聴力検査を受けることができないため、研究によって可聴域の範囲は異なりますが、一般的には「20~50,000Hz」の音を聞き取れると言われています。感度の高い周波数(特に聞こえやすい音の高さ)は人間も犬もほとんど同じと考えられていますが、犬は人間に聞こえない高い音(超音波)を聞くことができるため、犬に聞こえている世界は人間とは大きく異なっています。
詳しくは後述しますが、普段使用しているドライヤーやIHヒーターからも超音波が発生しており、聴覚に優れた犬たちはそれらの音が聞こえているのです。
犬が超音波を聞き取れるようになった背景には「野生時代に獲物であるネズミなどの小動物の出す高音を感知する必要があった」と考えられています(諸説あります)。

非公認の犬種を含めると世界には700~800種もの犬種がいると言われています。柴犬のように耳が立っている犬種や、バセットハウンドのように大きな耳が垂れ下がっている犬種など、耳の特徴もさまざまですが、耳の形による音の聞こえ方の違いはあまりないと言われています。
また、超小型犬から大型犬まで、同じ動物種でありながら品種によって体格が大きく異なるのも犬の特徴です。体の大きさに比例して鼓膜も大きくなるため、「大型犬ほど聴力が良い」と思われがちですが、鼓膜の大きさも聴覚への大きな影響はないということが分かっています。

そして、実働数はまだ少ないですが、この優れた聴覚を生かして活躍している聴導犬がいます。聴導犬とは耳の聞こえない人・聞こえにくい人たちに必要な情報を伝えてくれる補助犬です。お湯が沸いた音・アラームが鳴った音・インターホンが鳴った音など生活するうえで重要な音を聞いて知らせてくれます。

関連コラムとして日本聴導犬協会様に取材をさせていただいた際のコラムもぜひご覧ください。
【取材報告】聴導犬の普及・育成を行う「日本聴導犬推進協会様」

 

3.人間と犬の聴覚の違い


 

■音の高さと聞こえ方の違い

65~2,000Hz:この範囲では人間と犬の聴覚感度(聞こえ方)はほぼ同じです。
3,000~12,000Hz:人間も犬も可聴域ですが、犬の場合、-5~-15dBの音も聞くことができ、人間には聞こえない小さな音も聞き取れる聴覚感度を持っています。
12,000~50,000 Hz:人間の若者であれば20,000Hzまでの音を聞き取れることがあります。犬は人間の聴力ではとらえられない20,000Hzよりも高音域の音を聞き取ることができます。

可聴域において、人間は音の高さ(周波数)の微妙な違いを識別する能力が高く、騒がしい人混みの中でも会話ができたり(カクテルパーティー効果)、音楽を楽しんだりすることができます。
これは、言葉・言語をコミュニケーション手段として使うように進化した人間ならではの能力だと言えます。

■2つの音源の特定

視野の狭い動物(人間)の方が、視野の広い動物(犬)よりも「聴覚による音源の特定」が得意だと言われています。
人間の場合、2つの音源の方向が1.3°離れていれば、違う音であると認識することができます。一方で犬の場合は、8°以上離れていなければ、違う音として認識することができないと言われています。
これらのことから、犬よりも人間の方が音源の位置を特定するのが得意だと言えます。

人間には聞こえなくても犬には聞き取れる音

 

1.犬笛

 
犬笛はしつけや訓練、遠くにいる犬を呼び戻したり、牧羊犬に指示を出したりするときに使用されるホイッスルの1つです。犬笛は大きく分けて「超音波犬笛」と「可聴犬笛」の2種類があります。

超音波犬笛:20,000Hz以上の音が出て、人間には聞こえず犬だけに聞こえる笛
可聴犬笛:16,000~20,000Hz程度の音が出て、若い人であれば聞こえることもある笛

どちらの犬笛も人間には聞こえにくいため、周りの人に迷惑をかけずにトレーニングを行うことができます。一方で、人間には聞こえない音だからこそ、犬の近くで強く犬笛を吹いてしまうと犬の耳には大きな負担となってしまう可能性があるので注意が必要です。

 

2.ドライヤーのモーターファンから出る高周波

 

人間にとっても少しうるさいと感じてしまうドライヤーですが、ドライヤーの中のモーターファンが回転することによって人間には聞こえない高周波音(超音波)も発生しています。ドライヤーが苦手な犬はこの高周波音を嫌がっている可能性があるので、静音タイプのドライヤーを使用したり、しっかりタオルドライをした後にドライヤーを使用したりするなど、ドライヤーの使用時間を短くしてあげると負担を軽減してあげられるかもしれません。
 

3.IHヒーター

 
私たちが料理で使用しているIHヒーターも、超音波を発していると言われています。私たちにとってはほぼ無音でも、犬にとっては不快な音になっている可能性があります。なので、犬に不快な思いをさせないことと、料理中の拾い食いを防ぐためにも、料理をしている最中はキッチンの中に入ってこないよう対策をしましょう。

ストレスを感じさせないような環境作り・トレーニング

 

1.不快に感じる音をシャットアウトしてあげる

 
大きな音や聞きなれない音は、犬にとってストレスとなってしまうことがあります。
また、お留守番中はオーナー様が不在のため犬が不安になりやすく、周囲の音に対して敏感になりやすい傾向があります。
音に敏感な犬には、カーテンやシャッターを閉めて外部の音を遮断したり、窓のない部屋に犬用ハウスやクレートを設置したりすることで、ストレスを軽減できます。また、お留守番中にテレビやラジオをつけっぱなしにして外部からの音を聞こえにくくしてあげることも効果的な場合があります。
 

2.安心できる場所を作ってあげる

 

クレートやケージ、犬用ベッドなどの決まった場所で犬が静かにリラックスできるように事前にトレーニングをしてあげましょう。
クレートなどの狭く囲まれた場所でこのトレーニングを行うことを「クレートトレーニング」と呼び、犬にとって安心できる場所を作ってあげられるだけでなく、車での移動やお留守番、災害時の同行避難などにも役立ちます。
 

3.集中できる・夢中になれるものを与える

 
犬が夢中になれるものを与え、音に注意が向かないようにしてあげることも効果的です。中に入ったおやつを工夫して取り出しながらゆっくりおやつを食べられる「知育トイ」や、嗅覚を使って食べ物を探すゲーム「ノーズワーク」をさせてあげると、それらに夢中になって音への注意が向きにくくなります。さらに犬本来の探索行動や狩猟本能を満たしてあげることもできるので、ストレス発散や問題行動の予防にもつながります。
 

4.音に慣れさせるトレーニングをする

 
生後3週~12週頃の子犬の時期を「社会化期」と呼び、この時期にさまざまな刺激を受けることで人間や他の動物、外部の環境などに慣れていきます。
社会化期の間に日常生活で耳にする可能性のあるさまざまな音に慣れさせておくと、音に対する恐怖や不安を感じにくくなります。子犬をおうちに迎えたら、早いうちから掃除機や雷、花火などの音源や動画を使用して音に慣れさせてあげることをおすすめします。
すでに特定の音を怖がってしまったり、特定の音に対して吠えてしまったりする犬の場合は、その音が「怖くないもの」であると教えてあげる必要があります。
 

まとめ

ここまで、犬の聴覚の特性や、犬がストレスを感じにくい環境作り・トレーニングについてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
犬は人間よりもはるかに優れた聴覚を持っていることは多くの方がご存じでしょう。しかし、私たちが普段何気なく使っている家電製品や機器から発せられる音が、犬にとっては不快な高周波音である可能性があることは、意外と知られていないかもしれません。人間には聞こえない音だからこそ、私たちが気づかないうちに犬がストレスを感じていることも考えられます。
犬は、音に非常に敏感で、私たちが何とも思わない小さな音や高い音にも反応します。特に、ドライヤーや掃除機、電子レンジ、テレビのリモコンなど、日常的に使用しているものから出る高周波音は、犬にとって不快でストレスの原因となることがあります。だからこそ、身近にあるものが犬にどんな影響を与えているのかをもっと知り、意識する必要があると感じました。
犬は大切な家族の一員です。だからこそ、私たちが少しの気配りや知識を持つことで、犬にとってより快適で安心できる生活を提供できるはずです。
本コラムが、犬と一緒に暮らしているオーナー様はもちろん、これから犬を家族として迎え入れようと考えている方にとっても、犬の聴覚への理解や、快適な環境作りの参考になれば幸いです。

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