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7月第5週アップ_《獣医師コラム》【ペットフードができるまで】うちの子のごはん、どう作られている?栄養基準や製造工程をやさしく解説

こんにちは、レティシアン専属獣医師のIです。

「いつもうちの子にあげているフードって、どうやって作られているのだろう?」
そう疑問に思ったことはありませんか?

私たちが毎日ペットに与えているフードには、健康を支えるためのさまざまな工夫やこだわりが詰まっています。

今回は、ワンちゃん・ネコちゃんのペットフードの種類と製造工程についてわかりやすく解説していきます。ペットをもっと理解する一歩として、ぜひ最後までご覧ください。

ペットフードの分類

一口に「ペットフード」と言っても、与える動物の品種やライフステージ、形状などは様々で、多種多様な商品が販売されています。

用途による分類

主食用やおやつ用など、ペットフードをどんな目的で、どんな用途で与えるかによって、様々な種類のフードが販売されています。

・主食
必要な栄養成分の基準を満たし、主食として与えることができるフード。
一般的には主食用フードとお水だけでワンちゃんネコちゃんに必要な栄養素が摂れるように設計されています。

・間食
おやつやご褒美など、少量を与える目的のフード。
栄養基準を満たすように設計されていないので、間食用のものばかり与えると栄養バランスが乱れてしまう可能性があります。

・療法食
病気や健康状態に合わせて、特定の栄養素の量を調整したフード。
病気のワンちゃん・ネコちゃんの体に負担をかけないようにわざと栄養バランスを偏らせた設計になっているため、獣医師の指導のもとで使用する必要があります

・その他の目的食
食いつきを良くするためのトッピングや、健康維持のためのサプリメントなど、特定の目的のために補助的に与えるフード

ライフステージによる分類

ワンちゃん・ネコちゃんのライフステージによって、必要とされる栄養素のバランスは大きく異なるため、各ライフステージ向けのフードが販売されています。

・妊娠期/授乳期用
妊娠期/授乳期の母犬・母猫は、血液や母乳を介して赤ちゃんに栄養を与える必要があるため、カロリー・脂質・タンパク質を特に多く必要とします。

・成長期用
成長期の子犬・子猫は、健やかな体づくりのために高カロリー・高脂質・高タンパクの食事が理想的です。また、消化管が未発達なため、消化の良いフードである必要があります。

・成犬期/成猫期
成長期が終わると、必要とされるエネルギーは少なくなります。高カロリーな成長期向けのフードを与え続けると肥満の原因となってしまうので、体の成長が収まってきたら成犬・成猫期向けのフードに切り替えてあげましょう。

・シニア期用
シニア期に入って代謝機能が低下すると、必要とするエネルギー量が少なくなります。シニア期向けのフードは一般的に成犬・成猫向けのものよりも低カロリーに設計されていて、シニア期に合わせた健康維持成分を使用しているものが多いです。

・全年齢(オールステージ)対応
成長期からシニア期まで、すべてのライフステージの栄養基準をクリアできる栄養バランスに設計したフードです。食の好みが強くライフステージごとの切り替えが難しいワンちゃん・ネコちゃんや、多頭飼育のご家庭におすすめです。

フードの形状による分類

フードの形状は主に「フードに含まれる水分量」によって決まり、それぞれに特徴があります。

・ドライタイプ
ドッグフード・キャットフードで最も多く使われている、いわゆる「カリカリ」のフードです。
原材料の制約が少なく幅広い食材を使用できるので、幅広いニーズやライフステージに対応可能で、バリエーションに富んでいます。
また、水分量が10%前後と少ないため、カビや細菌が繁殖しにくく、常温での長期保存が可能というのも、ドライタイプの大きなメリットの一つです。

・セミモイストタイプ
ドライライプよりも水分を多く含み、水分量によって「セミモイストタイプ」「ソフトドライタイプ」と分類されることもあります。
水分量が1530%でしっとりとしたソフトな食感が特徴で、一般的にドライタイプよりも食いつきが良いとされています。
水分を多く含むためドライタイプと比べて長期保存が難しいという特徴も。しっとりとした食感をキープして長期保存を可能にするため、水分保持剤や防カビ剤・制菌剤などを添加する必要があります。

・ウェットタイプ
缶詰やパウチなどの容器で販売されている、水分量の多いフードです。
水分量は約80%と多く、食いつきの良さが特徴です。
水分が多いため、1食あたりのグラム数が多くなり、充填・殺菌などの製造コストもかかるため、ドライタイプ・セミモイストタイプと比べて1食当たりの価格が高くなる傾向があります。

・その他(トリーツ、ビスケット、ジャーキー、ガム等)

ペットフードができるまで

まずはレシピの作成から

➀対象の決定
まずは、そのフードの対象を決定するところから始まります。子猫なのか、シニア犬なのか、ダイエット用なのか…など、そのペットのプロフィールに合わせて設計がスタートします。

➁栄養バランスの調整
次に、その子に必要な栄養バランスを組み立てていきます。その際に参考となるのが、皆様も目にしたことがあるかもしれない「AAFCO(米国飼料検査官協会)」や「FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)」が制定している栄養基準です。

③原材料の選定
栄養バランスが決まったら原材料を選定します。メインとするタンパク質はチキンにするのかサーモンにするのか、乳酸菌やグルコサミンといった機能性素材を追加するのか…といった選択を行います。

④フードの形状の決定
最後に粒の形・サイズ・風味などを調整します。
ドライタイプの場合、一般的にはワンちゃん・ネコちゃんの体格やライフステージに合わせて粒の大きさを決定しますが、デンタルケア用の療法食では、よく噛んで食べてもらうためにわざと粒を大きくしているものもあります。

栄養基準AAFCOとFEDIAFについて

先ほどの手順の中に出てきた2つの栄養基準「AAFCO」と「FEDIAF」についても簡単にご説明しておきます。

どちらもペットの “栄養バランスが取れたごはん” を作るための世界的なガイドラインで、
「子犬・成犬・シニア犬でどれくらいタンパク質やカルシウムが必要か」
「ごはん1食あたりの最低限必要な栄養の量」
「食べすぎると体に悪い栄養素の上限」
「ちゃんとしたごはんかどうか見分けられるようなパッケージ表示のルール」
など、すべてワンちゃん・ネコちゃんの体に合った基準が細かく決められています。

どちらもNRCというアメリカの研究機関が出したデータに基づき栄養基準を決めているので、栄養基準は大きくは変わりませんが、対象としている地域が異なります。

以下に大まかな違いをまとめます。

日本での基準はどうなっている?

日本にはAAFCOやFEDIAFのような規定の栄養基準は存在しません。その代わりに「ペットフード公正取引協議会」という団体が、AAFCOの栄養基準を参考にして自主基準を設けており、ペットフード表示のルールづくりと監視を行っています。

ペットフードを選ぶ際は「AAFCOの基準を満たしています」「FEDIAFガイドラインに準拠」「総合栄養食」といった言葉があるかチェックしてみると良いでしょう。これらが書かれていれば主食として与えて問題ないと判断できます。

タイプ別 ペットフードの作り方

ドライタイプ

①原材料の品質チェック
ペットフードの原材料が工場に届けられると、まず最初に品質チェックが行われます。
日本ではペットフード安全法(ヨーロッパではFEDIAF、アメリカではAAFCO)の定めた基準に基づき、原材料の品質に問題はないか、異物やワンちゃん・ネコちゃんの体に害のある成分が含まれていないか、などを詳しく検査します。
この厳しい検査をクリアした原材料だけがペットフードの製造に使用されます。

➁原材料の下ごしらえ(計量・混合・粉砕)
ドライフードの製造過程は「パン作り」に似ています。
原材料を専用の機械で細かく粉砕し、レシピに合わせて計量し混ぜ合わせ、ドライフードの「生地」を作ります。

レシピどおりの美味しさ・栄養・食感を実現するためには、生地全体が均一に混ざっていることが重要ですので、生地をよくこねる(攪拌)する必要があります。
ドライフードの形をつくるために重要な役割を果たしているのがデンプンです。原材料を混ぜ合わせてすぐに成型してしまうとうまく粒の形にならないので、機械の中でじっくり生地を混ぜ合わせて「こねる」「寝かす」の作業を同時に行っています。

③生地を成型する、膨らませる、スライスする
混ぜた原材料に水を加え、「エクストルーダー」と呼ばれる特殊な機械で高温高圧にかけます。そして、急に外気に押し出されると内部の水分が蒸発してふんわりした粒ができあがります。これを「発泡成型」といいます。
エクストルーダーで加熱することによって、そのままの状態では動物は消化しにくいデンプンが、消化されやすい構造に変化します。また同時に、この過程は微生物を死滅させる働きも持ちます。

④焼きあがった生地を乾燥・冷却させる
エクストルーダーでの加工が完了したフードは、まだ水分が20~30%程度残っており柔らかい状態です。
さらに水分を飛ばすために乾燥をかけ、10%前後の水分量にしたのち冷却します。
水分量を少なくすることでカリカリとした食感を生み出しながら、カビや細菌が繁殖
しにくくなり常温での長期保存が可能になります。

⑤コーティング
十分な乾燥・冷却ができたら、仕上げに表面にコーティングを行います。
ドライフードの「生地」の中に脂質が多く含まれているとデンプンが膨らみにくくなってしまい粒の形が作れなくなるため、ドライフードの粒に後から脂質・オイルをまぶしていきます。このときに熱の影響を受けやすい栄養素などを合わせてコーティングしていきます。

⑥計量・包装・出荷
完成した粒の形や性状に問題がないか最終チェックを行いながら、計量・包装していきます。ここで賞味期限が正しく印字されているかの確認や最終製品に異物が混入していないか金属探知機にかけてチェックしすべてクリアしたものだけが出荷されます。

このようにエクストルーダーを使用した加工法がドライタイプの主流となっていますが、その他にもオーブンベイクド製法フリーズドライ製法など様々な加工法が存在します。

セミモイストタイプ・ソフトドライタイプ

基本的にはドライフードと同じ工程をたどりますが、加熱や乾燥の方法に違いがあります。
また、セミモイストタイプとソフトドライタイプは見た目こそ似ていますが、製造工程には明確な違いがあります。

3種類を比較した表が下記のとおりです。

中でもセミモイストタイプのフードは、発泡成型の過程がないのでよりしっとりとした食感となります。ただし、この3種類の中で保存性は最も低くなるため、保存剤などを使用して保護する必要があります。

保存剤など添加物については下記コラムでもご紹介しておりますので、ご参照ください。
《獣医師コラム》【ペットフードの添加物】ペット用のフードやおやつに含まれる添加物は安全?役割と合わせてチェック!

ウェットタイプ

①原材料の品質チェック
ドライタイプ・セミモイストタイプと同様、原材料について厳密に検査を行います。

➁原材料の下ごしらえ・調理
原材料を食べやすくするための下準備をします。
商品に合わせてワンちゃん・ネコちゃんが食べやすい大きさにカットしたり、素材ごとに加熱や味付けなどの調理を行います。

③充填・密閉
前処理を行ったものを調味液等と合わせて缶やパウチに充填し、空気が入らないようしっかりと密閉します。
缶詰・パウチ・トレイ・プラスチックカップなどその容器の形態によって適切な密閉方法を選択します。密閉がしっかりできていないと雑菌が入りやすくなるためこの工程は非常に重要です。

④殺菌
密閉した容器を高温・高圧でしっかり加熱殺菌します。
この加熱によって製品中の微生物増殖を防ぐことができ、長期間常温保存ができるウェットフードになります。

⑤冷却
殺菌後すぐに冷やして、食材の風味や栄養が飛ばないようにします。冷却しないと、熱が残って痛んでしまうリスクが増してしまいます。

⑥洗浄
容器に付着した油などの汚れを除去します。

⑦梱包・検品・出荷
内容量や賞味期限の印字、密閉の状態を最終チェックし問題がなければ梱包して出荷されます。

その他(おやつ製品)

おやつ製品は主に以下の2タイプに分類され、それぞれ製造方法が少し異なります。

・練り加工製品
原材料を細かく砕いて生地にしてから型をとって焼くタイプで、トリーツやビスケットなどが該当します。

・素材乾燥製品
原材料そのものをカットして味付け、加熱、乾燥などの加工をした製品で、ジャーキーなどがこれに該当します。

細かい工程は製品によって違いますが、基本的には下記の流れで製造されます。
①原材料の品質チェック
おやつについてもドライフードやウェットフード同様、原材料について厳密に検査を行います。

➁原材料の下ごしらえ(計量・混合・浸漬)
必要な分量を正確に計量して、必要に応じて他の素材と混ぜ合わせます。
ジャーキーや味付きおやつの場合は、調味液やスパイスに一晩つけこむ(浸漬)ことで風味をつける工程があります。

③加熱
蒸したり焼いたりすることで、細菌や微生物を死滅させます。

④乾燥・冷却
乾燥機にかけて水分を飛ばすことで常温でも長く保存できるようにします。
ビスケットならカリっと、ジャーキーならしっとり仕上げるなど仕上がりの食感に合わせて調整されます。

⑤裁断
乾燥が終わったおやつは与えやすいサイズや形にカットされます。

⑥梱包・検品・出荷
内容量や賞味期限の印字、密閉の状態を最終チェックし、問題がなければ梱包して出荷されます。

まとめ

市販のペットフードは、「どのような目的で」「どんな子に」「どう食べてもらうか」をしっかり考えて設計され、製造されています。
ドライタイプ・ソフトドライ・セミモイストタイプ・ウェットタイプ、そしておやつ製品に至るまで、それぞれのフードには水分量や加工方法の違いによる役割と特徴があります。これらはすべて、ペットの健康状態やライフステージ、嗜好に合わせて最適な選択ができるよう工夫されています。
日々のごはんも、ごほうびのおやつも、すべては「大切な家族であるペットの健康としあわせのため」にあります。各種フードの製造工程などを知ることで、フードを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

 

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